コミュニケーション能力 – スターターシップ

kashinokiの千葉です。kashinokiでは、これからのデジタル社会で重要な10の行動特性をスターターシップと呼び、オンライン&チーム体制で課題に取り組み、体感しながらスキルアップを目指すプログラムを展開しています。今回はスターターシップのひとつである「コミュニケーション能力」についてお伝えします。

なぜコミュニケーション能力が必要なのか

高校を卒業し社会に出ると、人との関係の幅が大きく広がります。友達・先生・家族といった身近な人から、年齢・性別関係なく様々な人と関わる機会が増えます。

そういったなかで、良好な人間関係を築くにはコミュニケーション能力が大切です。国内でも外国人が増えるなど多様化が進んでおり、価値観や考え方が異なる人と接するときには特にコミュニケーション能力は必要不可欠です。

さらに、2018年に行われた経団連の『新卒採用に関するアンケート調査結果』²によれば、企業が人を採用する際に最も重視している要素がコミュニケーション能力でした。コミュニケーション能力は就職する際にも求められる重要な能力であるといえます。

どのようにコミュニケーション能力を高められるのか

では、コミュニケーション能力とはどのような能力なのでしょうか。

kashinokiではコミュニケーション能力を「他者の意図を言葉や状況で理解し、自分の意見を適切な方法で効果的に伝える力」と定義しています。

コミュニケーション能力の中でも、今回は信頼関係を築くための聴き方についてお伝えします。

 

信頼関係を築くための聴き方では、話し手を理解しようとする姿勢が話し手に伝わることが大切です。

信頼関係が築かれているときは、話し手が「自分のことをわかってくれている」と感覚的に感じている状態であると言われています。つまり、話し手と信頼感を築くためには、話し手が「理解された」と感じてもらうことが大切になります。

それでは、どうすれば理解しようとする姿勢が話し手に伝わるのでしょうか。話し手を理解しようとする姿勢が効果的に伝わる方法は主に3つあります。

1. 話し手の気持ちを推測した聴き方

話し手の本当の気持ちを推測し、推測した気持ちや考えを反映したフィードバックをする聴き方があります。例えば、話し手に対して「○○だと思っているのですね」といった返し方をすることによって、話し手に注意を向けていることを示すことができます。

反対に、話を聴きながらすぐに問題解決に走ってしまうということがあります。実はこの文脈では適切な聴き方とはいえません。なぜなら、話を聴きながら解決策などを考えていては、話し手に注意を向けることができないからです。また、会話の始めの段階で聞き手から忠告されてしまうと、話し手が問題について深く話すことを躊躇し、本来伝えたい内容が埋もれたままになってしまう場合もあるので注意が必要です。

 2. 非言語的コミュニケーションによる聴き方

言葉を投げかけなくとも、態度だけで相手を理解しようとする姿勢を伝えることもできます。代表的な3つの方法をご紹介します。

1つ目は相手の話を徹底的に聴くことです。自分の話を途中でしたり、自分のコメントを考えながら聴いていては相手の話を理解することができないため重要です。

2つ目は相手の目を見て聴くことです。そのようにすることで、話し手に注意を向けていることを示すことができます。

3つ目は相づちやうなずきをしながら聴くことです。会話の中で「へ〜」「ふんふん」といった相づちやうなずきを入れることで、話し手に聴き手の理解度を示すことができます。

3. 話し手の話を促す聴き方

最後は、イエスがノーかでは答えられない質問で話を切り出すような聴き方です。

例えば、「それで?」「それから?」といった返し方があります。これらは、会話の切り出し方がわからなくなったときや、話し手が頭を抱えていたり、泣いているといった特有の行動をとったときに有効です。

他方で、「しかし」や「だけど」といった逆接の接続詞は、この文脈のなかで適切な聴き方とはいえません。このようなフレーズは話し手がわかってもらえていないと感じやすくなり、逆効果になる可能性があります。

以上の方法により、話し手との間に信頼感を創り出すことができ、より円滑なコミュニケーションを行うことができます。

コミュニケーションスキルワークショップの様子

2022年4月に行ったワークショップでは、悪い「聴き方」と良い「聴き方」の両方を実践してもらいました。

また、その間に講師から信頼関係を築く聴き方について、具体例を示しながら説明しました。

参加者の高校生からは、「聴き手が無反応だと不安になる…」「目を見て話してくれるとうれしい気持ちになる」といった感想がありました。

聴き方による話し手の感じ方の変化を体感することで、『信頼関係を築く聴き方の重要性』を理解してもらう機会になったのではないかと思います。

また、「特にコミュニケーションの取り方で習った聴き手の意識することは実社会でそのまま活きる」、「実生活でも気軽に実践可能な点がよかった」というコメントもありました。

さらに、「仲間との議論で、どのタイミングでどのように説明すれば自分の考えに納得してもらえるか、などコミュニケーションスキルを伸ばすことができたと感じました。」との感想もあり、プログラム全体を通 して成長を実感する機会を提供することができたのではないかと思います。

さらに、「仲間との議論で、どのタイミングでどのように説明すれば自分の考えに納得してもらえるか、などコミュニケーションスキルを伸ばすことができたと感じました。」との感想もあり、プログラム全体を通 して成長を実感する機会を提供することができたのではないかと思います。

kashinokiでは、知識のインプットだけではなく、実践型のプログラムを提供しています。興味のある方はぜひお問い合わせください。

【参考文献】

  1. 海外在留邦人数調査統計|外務省 (mofa.go.jp) (最終アクセス日 2022年5月5日)
  2. 2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果 (keidanren.or.jp)(最終アクセス日 2022年5月5日)
  3. トマス・ゴードン(2002)『ゴードン博士の人間関係をよくする本 自分を活かす 相手を活かす』、大和書房 
  4. 福原眞知子監修(2002)『マイクロソフトカウンセリング技法』風間書房6項以下

執筆者:千葉しずく