思考力・判断力・表現力を鍛えるオンラインプログラム – ぐんま国際アカデミー After School – Vol.1

2022年5月19日より、ぐんま国際アカデミーのAfter School プログラムをkashinokiが共催することになりました。

テーマは、「思考力、判断力、表現力を教科から切り離し、単独で鍛えるオンラインプログラム」

今回は、本プログラムマネージャーであり、ぐんま国際アカデミーのサイエンス・物理を担当している目黒立真教諭に、企画のきっかけやカリキュラムの作り方などをお尋ねしてみようと思います。


Q : ぐんま国際アカデミーについて簡単に教えていただけますか?

本校の特徴は大きく2つ、小中高一貫の英語イマ―ジョン教育と中学・高校で導入している国際バカロレアです。

イマ―ジョン(immersion)とは「浸すこと」の意味です。本校では、クラス担任は外国人ですし、英語の授業はもちろん、数学や理科、社会の授業も英語で行われます。生徒はまさに英語漬けの日々を送り、高校生にもなると、抽象的な議論を英語で行う姿が見られます。

また、国際バカロレアというのは国際的に認められた教育プログラムであり、より良い世界を目指す人々を育成することをミッションとしています。世界とつながる学びや探究的な学びの他、思考力やコミュニケーション能力といった能力を重視している点が特徴です。本校でも、世界・社会をより良くするためにプロジェクトを遂行するといった授業が多く、探究しながら、自分自身で考え行動することができる生徒が多いという印象があります。

Q: After Schookプログラムとはどういったものなのでしょうか?

生徒たちの日々の学びの充実ならびに希望進路の実現をサポートするため、放課後に希望者を対象として、開講される講座のことです。授業のサポートや、より難しい内容の講座の他、海外大学への進学準備やTOEFLなどの検定準備、教員の得意を活かしたドイツ語、フランス語講座など、様々な講座が今までに開講されてきました。

Q:なぜ、目黒さんがAfter Schookプログラムをkashinokiと共に企画しようと思ったのでしょうか?

実はkashinokiの代表の真鍋さんとは大学時代からの友人であり、真鍋さんがkashinokiを立ち上げる以前から教育の話をする機会がありました。kashinokiが掲げるスターターシップという考え方は、国際バカロレアが重視する能力や私の考えとも近いところがあると感じていました。また一方で、私自身が個々のスキルをより深く理解し、生徒に対して個々のスキルを明示的に教えるということの必要性を感じていました。このような中で、kashinokiと共に個々のスキルを中心に据えた授業を作ってみたいと思ったのがkashinokiと協働を始めたきっかけです。

昨年度は「批判的思考力」を扱う授業を実施し、まわりの教員からも生徒からも好評を得ました。これを受け、今年度はより多くのスキルを、より深く学べる授業を目指し、After Schoolで実施することになりました。

また、単純ですが、生徒には学校外の優秀な大人とたくさん接して欲しいと思ったこともkashinokiと共に授業を作りたいと思った理由の一つです。kashinokiのメンバーは非常に優秀な方々なので、生徒達もすばらしいロールモデルに出会えるのではないかと思っています。

Q:カリキュラムの目的や内容はどのように決められましたか?

kashinokiが掲げるスターターシップ※や国際バカロレアが重視する能力を育成するということを大きな目的としています。その目的のためには、座学で個々の能力について学ぶだけでなく、生徒が実際にアウトプットを出す中で能力を身に着けて欲しいと考え、プロジェクトベースドラーニング(PBL)の形式をとることにしました。そのため、個々のスキルを明示的に学ぶワークショップと、それを活用するためのPBLという2本の柱で講座は構成されています。

プロジェクトのテーマは、多くの環境で求められ、まさにkashinokiメンバーの専門性でもある”問題解決”としました。生徒達には、異学年混合のチームを作り、彼らのまわりの問題を探究・解決してもらうことになります。

また、本講座では、社会での実践に近い環境で学んで欲しいと思っています。生徒達にとっては彼らのコンフォートゾーンの外側になるかもしれません。しかし、例えばコミュニケーション能力の育成を考えたとき、同じクラスの友達とだけ議論するようなコンフォートな環境ではダメなのではないかという反省が私自身の中にあるため、生徒にとって少しチャレンジングな環境を作り、個々のスキルを育んでもらいたいと思っています。もちろん、チャレンジングな環境を作るからには、生徒が安心・安全を感じられるようなサポート体制にも注意したいと考えています。

Q: 生徒さんへの告知はどのように行っていますか?また、生徒さんの反応はどのような感じでしょうか?

非常に好意的に受け入れられている印象です。After Schoolは希望者のみを対象とした有料のプログラムのため、通常は10人弱で開講されることが多いのですが、今回の講座は30人以上の生徒からの申し込みがありました。

募集を掛けた人数が270人程度なので、8人に1人以上の割合で応募してくれたということになります。希望者のみを対象とし、費用も掛かってしまい、さらには日々の授業に直結するわけでもない講座に対する申し込みとしては、驚くような結果だと思います。

一方で、生徒が何を求めて参加を希望したのかという点、つまり、スキルの習得を目指しているのか、国際的に活躍することや国連機関ではたらく事を意識しているのか、ロールモデルを得たいと思っているのか、といった所はまだ分かりませんので、今後どこにニーズがあるのかを確認したいと思っています。

Q: まもなくプログラムスタートとなりますが、生徒さんへはこのプログラムを通じて、特にどのような力を身につけてほしいと思われますか?

個々の能力という点では、思考力やコミュニケーション能力等です。それらに対して自覚的になって欲しいですし、それらを自分の言葉で語れるようになってほしいと考えています。また、コンフォートゾーンの外での経験等を通して、チャレンジ精神や他者を受け入れるといったマインドも育んで欲しいです。

また、知識や技能という点では問題解決のプロセスや、探究のプロセス、つまり、課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現といったプロセスを学び身に着けて欲しいです。問題解決のプロセスの中では問題を発見するスキルや、複数の解決策案を評価し選択するというスキルも学びます。これらは、生徒たちが課題論文を書く際の型にもなり、彼らが難しいと感じることが多いと思われる、“良いリサーチクエッション”の見つけ方や、研究の動機などの書き方にも直結します。これらを身に着け、今後の学習に結び付けて欲しいと思っています。

さらには、私自身のチャレンジ目標としては、生徒が自分自身の思考やマインドに自覚的になることによりメタ認知能力を育んで欲しいとも思っています。問題解決スキルは、スキルですので型があります。考え方に対するスキルです。この型に対して自分の思考を上手く当てはめてみる経験をすることで、何をどのような範囲で考えているのか とか、それを どのように考えるのか、考えを発散させたいのか収束させたいのかという思考の目的やプロセス自体を意識的に思考してみて欲しいのです。それは例えば、部活でサッカーの練習をするときに、単に練習メニューをこなすのではなく、個々の練習メニューの目的を考えることに似ていると思います。自分自身の思考やマインドに対して自覚的になることは、今後生徒がより良い学習者になるために重要なのではないかと思います。


ご協力ありがとうございました!

どのような生徒さんが参加され、プログラムが進むか楽しみですね。
プログラムが開始されたら、またこちらでご報告したいと思います。

お楽しみに!

広報担当:秋元かおる